第1回やわらかエネルギー学校終了しました

SCJ初の試みとなった合宿型セミナー「第1回やわらかエネルギー学校in栃木」が無事終了しました。会場となった「星ふる学校『くまの木』」は廃校を利用した宿泊体験施設。温かみのある木造校舎と自然豊かな周辺環境というロケーションは、自然エネルギーを学ぶにはこれ以上ないという場所です。

 

2日間のイベントは、やわらかエネルギー学校校長・上岡裕の挨拶でスタート。

最初に、くまの木の管理団体である、特定非営利活動法人 塩谷町旧熊ノ木小学校管理組合の手塚功理事長から同施設の紹介が行われました。

 

 

今回の最強講師陣のトップバッターを飾るのは、ソーラーシティ・ジャパン理事で千葉エコエネルギー(株)代表取締役の馬上丈司先生。「自然エネルギー社会を作ろう!」をテーマに、日本において自然エネルギーが重要な理由や、地域のヒト・モノ・カネで地域循環のループを作ることが、自然エネルギーによる収益を地域に還流させることにつながるといった具体的手法などが紹介されました。

 

ちょっと驚いた事実として、馬上先生が講師を務める大学の授業で、福島第一原発事故のことを聞いたところ、原発のこと、原発事故のことを知っていた学生は、約2割程度だったとのこと。これにはショックというか、われわれような団体が、まだまだやらねばいけないことがあることを、強く思い知らされました。

2限目はソーラークッカーの第1人者、足利工業大学・中條祐一先生による講義です。つい数日前まで、エチオピアの難民キャンプで、ソーラークッカーの導入調査を行っており、帰国したばかりで忙しいなか、お越しいただきました。

 

「ソーラークッカーに人生を賭ける」と宣言する先生のお話には迫力を感じました。太陽の恵みで熱をつくる―ー。やはり、熱は熱で利用するのが一番効率がいいですよね。エネルギー問題待ったなしの日本はもちろんのこと、先述のエチオピアや途上国のようなエネルギー難民国では、ソーラークッカーはとても貴重な1台となります。クッカー1台あればなんと年間1トンの薪が節約できるということで、火をおこすために無秩序に森林を伐採する必要はなくなります。何が何でも普及させてほしいですね。

 

また興味深い話では、ソーラークッカーの製造方法はいたって簡単なので現地で作るよう指導するのですが、現地の人たちは「メイドインジャパン」の製品がほしいため、なかなか現地品が普及しないそうなのです。それだけ海外におけるジャパンブランドの価値はまだまだ高く、うれしい一方、それが普及の妨げにもなっていて非常に悩ましい問題ですね。

市貝町の佐藤隆司さんはボランティアで廃品回収を集めそのお金で福島県の幼稚園を支援しています
市貝町の佐藤隆司さんはボランティアで廃品回収を集めそのお金で福島県の幼稚園を支援しています

初日最後の授業は、上岡校長がファシリテートするワークショップです。この日、やわらかエネルギー学校に集まったのは、地元栃木県からはもちろん、山形県、福島県、茨城県とさまざまな地域・分野の人たち。1人ひとりの自己紹介のあと、今回のセミナーの内容を地域に持ち帰ってどのように活用するか、この塩谷町や「くまの木」で自然エネルギーをどう活用するかなど、活発な意見交換が行われました。

 

そうそう! この2日間の授業で使用するプロジェクター、パソコンに使用する電力はすべて、ナノ発電所で作った電気を活用しました。

学生時代の合宿を思い出します^^
学生時代の合宿を思い出します^^

さて1日目を終え、その後の夕食&懇親会のひとときは、それはそれは大いに盛り上がりました。授業だけではカバーできなかった部分の解説や、コミュニケーションの時間がたっぷり取れます。宿泊型セミナーの醍醐味ですね♪

 

また、地元の食材を使ってつくる、くまの木の料理も最高でした!

プログラムでは星空観察や朝のバードウオッチングも予定していましたが、あいにくの天気でそこは断念。。。

 

2日目は、NPO法人太陽光発電所ネットワーク・加藤聡理事による「市民発電所をつくろう」からスタートしました。同法人の設立趣旨でもある“市民の手で自然エネルギーを普及を”のとおり、3.11以降、全国各地で市民出資・参加型の太陽光発電所を増やしています。

 

一番の驚きは、計画や出資は市民主導で行うのことはあったとしても、施工まで市民が行っているケースがあったこと。もちろん出資だけでも参加の意義は高いですが、自ら額に汗して、作りあげた発電所であれば、その想い入れはひとしおですよね。わたくし、吉田個人の頭の中では、市民出資のことしか頭になかったのですが、それよりも、大人から子どもまで地域の人自らが建設に参加することで、エネルギー問題を少しでも考える機会が増える、とても意義のある活動だと感動しました。

 

また、秋田県では規模の大きなメガソーラーもサポートしているとのことで、規模が大きいぶん募集金額も大きいため、出資がちゃんと集まるのか不安だったようです。ところがいざ蓋を開けてみると、地元・秋田の個人や企業のみなさんが、高額な出資メニューへの参加に次々と名乗り出てくれたということでした。こういった地域の力の可能性を聞くと、今後、市民発電所建設を進ようとするなかで、非常に心強く勇気をもらえます。

やわらかエネルギー学校のラストは、地元・尚仁沢の小水力発電予定地見学を含む、星ふる学校周辺のフィールドトリップを予定していましたが、急遽、小水力発電事業を立ち上げた企業組合エヌ・イー・エスの福田副代表のお話を聞くことができました。10年前、行政にこの話を持ち込んだ時にはけんもほろろだったのが、皮肉なことに3.11以後の固定価格買い取り制度のスタートがきっかけに、瞬く間にことが進んだということです。その10年がかりの構想がまもなく実現しようとしています。

その後、雨の中、現地を視察。画像の緑色の管から分水して水車を設置し、発電を行う計画です。ぜひとも自然景観ととけこむセンスのよい発電所を作っていただきたいですね。

制作秘話?を語る佐藤さん
制作秘話?を語る佐藤さん

そして最後の最後にサプライズが!

 

ナノ発電所のソーラーパネル用の架台を組手什(くでじゅう)で作れないかと、今回参加してくださった建築士・佐藤大介さんに相談を持ちかけていたところ、その試作品をこの日に合わせて完成させてきてくれました。しかも2タイプ!! これが実に素晴らしくカッコイイ!!

最後に記念写真をパシャリ。全員で撮るのを忘れてしまいました^_^;

 

参加者のみなさま、2日間、大変お疲れさまでした! やわらかエネルギー学校は今後も、第2回、第3回と各地でも開催したいと考えています。残念ながら今回参加できなかった方は、ぜひとも次回のご参加をお待ち申し上げます~!

 

文/ソーラーシティ・ジャパン理事・吉田

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